以前からAmazonのカートに入れたまま、ずっと気になっていた一冊があります。
それが、『普通の底』です。
なかなか購入するタイミングがなかったのですが、最近Audibleで配信されているのを見つけ、聴いてみることにしました。
正直に言うと、この物語はとても生々しく、聴いていてつらくなる場面も多い作品です。
読了後もしばらく気持ちが沈み、どうやって気持ちを切り替えればいいのか考えてしまいました。
それでも、「読んでよかった」と思える一冊だったと信じたくて、こうして言葉にしてみています。
ただし、この本は、読む人を選ぶ作品かもしれません。
『普通の底』というタイトルが突きつけるもの
この作品を聴きながら、ずっと感じていたのは「怖さ」でした。
そんな怖さです。
正直、「自分は絶対にそうならない」と言い切れる自信はありません。
人は追い込まれたとき、何を考え、どこまで落ちてしまうのか。
この物語は、その境界線を突きつけてくるように感じました。
犯罪を犯す側に巻き込まれないためには、どうすればいいのか。
そんなことを、読み終えたあとも悶々と考えてしまいました。
「普通」の基準が人を追い込むこともある
読後、ずっと頭から離れなかったのが、このタイトルです。
「普通の底」。
この言葉を聞いたとき、私が思い浮かべたのは、社会が作ってきた“普通の人生”というモデルでした。
例えば、
- 良い学校に進学し
- 良い大学に入り
- 大手企業に就職する
そういった人生のレールです。
もちろん、それを実現する人もたくさんいます。
でも、それが本当に「普通」なのでしょうか。
私自身は、その生き方を「普通」だとは考えていません。
だからこのタイトルには、少し複雑な気持ちを抱きました。
「普通」という基準が生む劣等感
もし、その社会モデルを「普通」だと信じてしまったとしたら。
そこから少し外れただけで、「自分は普通の底にいる」と感じてしまうかもしれません。
しかし私は、その「普通」は、誰かが作り上げた基準に過ぎないと思うのです。
それでも、その基準の中で生きている人にとって、比較や劣等感はとてもリアルなものです。
そして、そうした感情が積み重なったとき、怒りや憎しみに変わってしまうこともあるのかもしれません。
それでも、人を殺めてはいけない
この作品を聴きながら、何度も考えました。
人はどこまで追い込まれると、壊れてしまうのだろう。
そして、同時にこうも思いました。
どんなに追い込まれても、人を殺めることがあってはいけない。
当たり前のようでいて、とても難しいことです。
だからこそ、この物語は怖かったのだと思います。
これは、特別な誰かの話ではありません。
「普通の人」の物語だからこそ、私は怖いと感じたのだと思います。
この本を手に取る時は慎重に
『普通の底』は、決して軽い気持ちで読める作品ではありません。
でも、
- 人間の弱さや矛盾を描いた物語が好きな人
- 社会や人間の心理について考える作品が好きな人
には、強く心に残る一冊になるかもしれません。
ただ、気持ちが落ちているときには、少し重すぎる。
私は、そんなふうに感じました。
おわりに|「普通」とは何なのか
私にとっては珍しく、「楽しい読書体験でした」とは言えない一冊でした。
けれど、そのぶん、とても印象に残る作品になったことは間違いありません。
この本が投げかけてくる問いは、きっとしばらく心の中に残り続けると思います。
「普通」とは何なのか。
そして、逃れようのない社会のヒエラルキーの底は、どこにあるのか。
考え始めると、途方にくれてしまいそうです。

もりー
最後までお読みくださりありがとうございました☆