町田そのこさんの本に立て続けに触れた2月。

その中で読んだ一冊が『コンビニ兄弟』です。

この本はブックオフで300円ほどで購入しました。

カバーは最初から少し傷んでいたので思い切って外し、ドッグイヤーや書き込みをしながら読み進めました。

読み終えたあとに残ったのは、派手な感情の揺さぶりとは違う、じんわりと心に染みてくる読後感でした。

今回は、町田そのこさんの小説、『コンビニ兄弟』を読んで感じたことをまとめました。

『コンビニ兄弟』はどんな物語?

『コンビニ兄弟』は、九州にあるコンビニを舞台にした連作短編集です。

個性的な兄弟と、その周りに集まる人たち。

それぞれの章で、登場人物の人生や悩みが少しずつ描かれていきます。

物語は決して、派手な事件が起きるわけではありません。

しかし、読み進めるうちに、
「人はそれぞれの事情を抱えながら生きている」
そんな当たり前のことが、ゆっくりと心に染みてきます。

心に残った言葉|「好きなものにがむしゃらな人は少ない」

本の中で、特に印象に残った言葉があります。

ある父親が高校生の息子に語る場面です。

周りを見てみろ。
好きなものにがむしゃらになっている人というのは、実は驚くほど少ない。
まずそういうものに巡り合うのが難しい。
そしてそれに打ち込める環境にいることも、また難しい。

コンビニ兄弟 より

この言葉を読んだとき、私は思わずページの角を折りました。

「好きなことを見つけよう」
「好きな道に進もう」

このような言葉は、今の時代よく耳にするようになりました。

けれど本当に、好きなものに出会うこと自体が、実はとても難しいのかもしれません。

そんなに簡単じゃない、好きなこと。

好きなことがある。
好きなことに夢中になれる。

それはとても素敵なことです。

けれど実際には、

  • 本当に好きなのか迷ったり
  • 続けられなくなったり
  • 好きだったはずなのに苦しくなったり

そんな葛藤もたくさんあります。

自分自身のことを思い返してみても、好きだからこそ悩み、こじらせてしまった経験がありました。

「好き」を見つけることは、ある意味、スタート地点に立つことなのかもしれません。

好きな道って、そんなに簡単に見つかるもの?

大人はよく子どもに言います。

「好きな道に進めたらいいね」

もちろん、それはとても自然な願いです。

でも、この本を読んで、ふと考えました。

「好きな道に進んでくれたらいい」という言葉は、もしかしたら少し便利すぎる言葉なのかもしれない?

と。

この言葉は、一見すると子どもを尊重しているように聞こえます。

実際、好きな道が見つかっている子にとっては、とても心強い言葉のはずです。

でも、もしまだ見つかっていなかったらどうでしょう。

「好きな道」という言葉の迷路に迷い込んでしまうこともあるかもしれません。

あるいは、好きな道を見つけられていない自分に、どこか後ろめたさを感じてしまうこともあるかもしれません。

まとめ|『コンビニ兄弟』読書感想

『コンビニ兄弟』は、とても日常的な物語です。

しかし、読み終えたあと、

人はそれぞれの事情を抱えながら生きている

そんな当たり前のことを、あらためて思い出させてくれました。

  • 好きなことに出会うこと。
  • それに夢中になれる環境にいること。

それは、実はとても幸運なことなのかもしれません。

好きなこと、とは言うほど簡単でも、きれいな言葉でもない。

だからこそ、好きなこと=良いこと、と単純に考えるのは違う気がしています。

それは、置かれている立場や状況によっても変わるものなのだということを、心に留めておきたいと思います。

  • もし好きな道が見つかっているのなら、全力で応援する。
  • まだ見つかっていないのなら、焦らずに一緒に考えていけばいい。

『コンビニ兄弟』は、そんなことを考えさせてくれる一冊でした。

もりー

最後までお読みくださりありがとうございました。