私が著者の宇都宮直子さんを知ったきっかけは、ラジオ番組「おはよう寺ちゃん」へのご出演でした。

そのときに語られていた『渇愛』の内容があまりにも衝撃的で、思わず書籍を購入したのを覚えています。

  • 頂き女子りりちゃん事件の真相とは何なのか?
  • りりちゃんの家庭環境はどうだったのか?
  • 歌舞伎町の住人たちはどんな様子なのか?

最近Audible無料対象作品になり、二度目の『渇愛』に触れたとき、ようやくこうして言語化できる感想が書けるようになりました。

とても拙い感想文になってしまいそうですが、最後までお付き合いいだけますと幸いです。

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1度では理解できない『渇愛』の世界

正直に言うと、最初に本を読んだとき、内容を理解することができませんでした。

読後の感想も浮かばず、

これは一体何だったのだろう

と、棚に置いたまま時々横目で見る日々。

そんなある日、Audibleで『渇愛』を見つけ、次は耳から再読というカタチ「になりました。

前回ブログで紹介した『アルケミスト』とは逆で、書籍 → Audible の順番です。

そしてようやく、なんとか言語化できるようになりました。

りりちゃんの言動そのものは理解しきれないものの、「犯罪のメカニズム」に少し触れられた気がします。

渡辺真衣被告こと、頂き女子りりちゃんの言葉から感じる“自己有用感”の欠如がもたらすこと

りりちゃんはホストクラブにのめり込み、大金を稼いではホストに注ぎ込む生活を続けていました。

傍から見ていて、かつ健全な精神状態であれば

と思うかもしれません。

しかし、
りりちゃんには家庭にも学校にも居場所はありませんでした。

居場所を失い、
褒められる経験もなく、
自己有用感が育たないまま
大人になった場合。

その人の判断能力は大きく歪んでしまうのかもしれません。

以下、そのことが感じられるりりちゃんの言葉です。

私、今まで誰かの役に立ったことがないですし、昼職も楽しくないし、生きがいがない。
流されるまま、お金を稼いで、“頑張って”役に立っているというのが嬉しかったし、自分の中で楽しいと思った。
〈中略〉
体売っても、何しても、お金を稼いで、担当に使うというのは素晴らしいことなんです。
歌舞伎町ではそれが褒められる世界なんです。

渇愛 より

学校でのいじめ、父親からの虐待、守ってくれなかった母親…。

学校にも家庭にも居場所がなく、褒められる経験も少ないないまま成長したりりちゃん。

SNSで派手に行動し、ホストでむさぼるようにお金を使う姿は、まるで“満たされない穴”を埋める行為にも見えました。

光と闇|闇落ちする社会構造

ホストクラブに通う女性たちの背景も、どうやら決して単純ではないらしい。

夫からのモラハラ、跡継ぎプレッシャー、不妊治療の苦痛から逃げる先がホストクラブだった女性経営者・・・。

彼女たちがいかに悩み、日常に不満を抱えていても、 周囲からは「大変かもしれないけれど、あなただけじゃない」いなされる。

渇愛 より

ここには、女性蔑視の構造が垣間見えると思いました。

日常がドン底の女性たちが、まるで光を求めるかのようにホストクラブへ引き寄せられていく。

しかしそこは、光のようでいて闇の入口でもある…。

ここで改めて、光と闇は表裏一体であることを痛感しました。

被害者を追い詰める「自己責任論」

ここで被害者についても触れておきたいと思います。

書籍に登場している事件の被害者(恒松氏)は、詐欺被害を被っただけでは終わりませんでした。

その後、SNSに流れてくる事件に対するコメントには、恒松氏を追い詰める内容のものも多くあったようです。

恒松氏の心情が報じられると、SNSなどでは「自己責任論だろ」と非難する声がエスカレートした。
《30歳も離れた女のコとおじさんが付き合えると思ったの?》
《いい思いをしたからいいじゃない》《なんで気が付かないの?》
《高い授業料だったと思え》・・・・・。
まるで「セカンドレイプ」にも似た現象が起こった。

渇愛 より

これは自己責任論が暴走した象徴的な現象だと感じました。

騙されない努力も必要ですが、被害者がここまで叩かれる社会の空気は、正直怖いとも感じます。

ちなみに、私の中にも“なぜ騙されてしまったの?!”と思う気持ちがありました。

しかし、りりちゃんのマニュアルはとても巧妙にできていることを知り、その気持は消失しました・・・。

頂き女子りりちゃんの担当ホスト“狼谷歩(田中被告)”の家庭環境のギャップ

さらに驚いたのは、りりちゃんと共に「加害者」となった田中被告の家庭環境が、真逆だったことです。

母親は、息子の更生のために、“友人関係を把握する”ことを挙げ、3日ごとに田中被告のスマホを抜き打ち検査し、悪い友達がいないかなど、交友関係のチェックをしていると言うんです。
息子とはいえ、27歳の男性ですよ。
〈中略〉
狼谷歩の母親は、名古屋まで赴き法定に立ち、保釈後も地元で息子のサポートに徹した様子。

渇愛 より

一方、りりちゃんの母親は、情状証人として法廷に立つことを拒否したようです。

りりちゃんは強く望んでいたのに、その願いは最後まで叶いませんでした・・・。

保釈後の狼谷歩についてはこのように書かれています。

懲役3年、執行猶予5年、罰金80万円」の判決が下った田中被告は母親の庇護の下で生活を立て直し、現在ではTikTokdで「狼谷歩(元No.1ホストの末路)」を立ち上げ、ほぼ毎日配信を行っている。
自己紹介欄には《いただき女子りりちゃんの担当ホストでした。》という記載もある。

渇愛 より

過剰に庇護されている彼の保釈後の姿を知り、そのちくはぐさに私は少し戸惑いを覚えました。

田中被告は今後、健全な人生を歩んでいけるのでしょうか。

まとめ|頂き女子りりちゃんは罪を理解できないまま受刑者となったのか?

私はこの書籍を読むことで、何かひとつの答えのようなものに辿りつけるのでは?と、淡い期待をしていました。

しかし、実際はそうではありませんでした。

むしろ、読了後に残るのはモヤモヤ。

「これだ」という結論のようなものや、感覚を得ることができません。

私が感じたこの感覚を支える宇都宮さんの言葉を引用します。

私は、自分の「罪」を本当の意味で理解しないまま受刑者となったー私はそう思っている。
〈中略〉
「私を買ったことも風俗のことも、それは許されることなのでしょうか」と話し「私だって傷ついた、ある意味で私だって被害者なのだ」と最後まで主張し続けた。
私はそのことが、とても哀しい。
〈中略〉
自分の“本当の罪”と向き合うことができなければ、本当の意味で更生するのは難しいのではないか。

渇愛 より

著者は最後にこう結んでいます。

いつしか彼女が、自分で作り出した「キラキラの牢獄」から抜け出し、社会へ戻るまでを見届けようと思う。その時をただ、待っていようと思うのだ。

渇愛 より

事件の「解決」とは何なのだろう。

加害者が思う「解決」とは?

被害者が思う「解決」とは?

私はやっぱりぐるぐると考えてしまいます。

この書籍を通して、ひとつの事件を巡って起こる二項対立は、とても不毛であることを改めて感じました。

そして事件には、永遠と紐解くことができないような、とても複雑な要素がからまり合っていることがほとんどなのだろうということも・・・。

小石のように飛び交う外野の声は、実はとても空虚なものなのかもしれません。

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というわけで、

もりー

最後までお読みくださりありがとうございました。